こんにちは、ひららんです。今日はたくさんネタがあったんですが、特に編み物関係でけっこう悩んできた問題について、出版社である暮しの手帖社さんから公式な回答を頂いたので、その件について書きたいと思います。
※回答していただいた内容をブログで公開していいか確認したら快諾してくださいました。
猪谷さんの靴下の素晴らしさ
そもそも猪谷さんの靴下とは何ぞや、という方もいらっしゃるかと思うので、簡単に概要を。
暮しの手帖別冊「こころとからだのあたため読本」によると、日本スキー界の草分けである猪谷六合雄さん、山小屋から靴下まで何でも自分で作ってしまう方だったそうです。息子さんは冬季五輪選手にもなられた猪谷千春さんです。
暮しの手帖社 | 暮しの手帖別冊 こころとからだのあたため読本
猪谷さんがスキージャンプを始めたころ、市販の靴下はサイズが限られており、猪谷さんの大きな足に合うものはありませんでした。そのうえ、重ね履きをすればすぐに破れるし、履くと型崩れしてしまう。そこで猪谷さんは、厚くて丈夫な靴下を求めて自分で編むことを考えます。
----「こころとからだのあたため読本」(暮しの手帖社)より
要は、スキーをしない人にとっても
- 足にぴったりフィットして
- 暖かくて
- 厚め、柔らかめを選べて
- 一目ゴム編みとメリヤス編みメインで
- 普通に洗濯機でガンガン洗える
冷え性にとって救い主のような靴下だと私は解釈しています。ただし、柔らかめに編んでもけっこう分厚くなるので、普段履きの靴だときつくなるかも?
冷え性にとって救い主のような靴下だと私は解釈しています。ただし、柔らかめに編んでもけっこう分厚くなるので、普段履きの靴だときつくなるかも?
猪谷さんの靴下のハードル
こんな素晴らしい靴下ですが、ひとつだけ厄介な点があります。それは
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>編み図のとっつきにくさ<
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これにつきます。
そう、普段目にするいわゆる「編み図」とは違って、猪谷さん独自の表現や記号で書かれているので、日頃編み物をする人にとっても初見だと戸惑う点が多々あろうかと思います。私も自宅療養中で時間があるから取り組むことができましたが、そうでなければ一生編めなかったかもしれません。
でも大丈夫、コツもあります。
書かれているとおりに編む
本当にこれだけです。テキストを前に眉間にしわを寄せているより、とっとと実行したら意外と編めてしまって驚きました。猪谷さんのオリジナルパターンは履き口のゴム編みから編む方法ですが、ネットには爪先から編む方法を公開してくださっている方もいて、とても参考になりました。
オリジナルどおり履き口から編んでみることにしました。40目ゴム編み止めをするより10目メリヤスはぎをするほうが楽そうだったし。ちなみにすべて輪針1本のマジックループで編み、分目は段数リングでマーキングしています。作り目は、最初はかぎ針で直接編み付ける作り目でやってみましたが、後から変えた「直接針に作るゴム編みの作り目」のほうが断然きれいで履きやすかったです。まあそんなこんなで試行錯誤はあるものの、足首のゴム編みとメリヤス編みは順調に進んでいきました。
最大の難関:踵
一番難しかったのが、なんといっても踵。これまでゴジラ靴下しか編んだことがなく、引き返し編みの踵は初めてだったこともあって、前半の「一目ずつ残していく行程」は問題なかったのですが、後半で踵底を作っていく行程で訳が分からなくなり、何回もほどいてネットで検索してようやく形がつかめました。
しかし、どうしても分からなかった部分がありました。
踵底の最後の部分、「2目編んで1目戻す行程」のラスト1目はどこにくぐらせたらいいのか
これも「書いてあるとおりに理解する」ことを頑張ってみたんですが、どうしても分かりませんでした。
暮しの手帖社に電話で問い合わせる
どう考えても検索しても分からなかったので、こんなときはもう出版社に直接お伺いを立てるのがベストだろうと思い、思い切って電話してみました。最初は営業部につながり、質問の内容を伝えると編集部につないでくださいました。記事の担当者さんが不在だったのですが、出てくださった方もとても丁寧に対応してくださったので、とりあえず質問内容を伝えてもらって返事を待つことになりました。たくさん仕事を抱えておられるだろうから当日中にはまず無理だろうと思っていたので、1週間くらいで返事が来たらいいな~ぐらいの気持ちでいました。
ところが、1週間たっても全く何の音沙汰もなく、月が変わっても返事は来なかったので「あ~これは忘れられたかな」or「暮しの手帖社さんのことだから、まさか編んで検証してくれてるんじゃあるまいな」と思い始め。ネットの掲示板で質問したりしてさらに試行錯誤をして編み進めていました。
そして6足目が完成目前の今日、ついに待望の電話がかかってきたのでした!
暮しの手帖社さんからの回答
ケータイの着信に、見慣れない東京からの番号が。「マンション買いませんか」じゃないだろうなと若干の不安とともに出たところ、「暮しの手帖社編集部のEと申します」…おおおおっ、ついにかかってきたぜー!!!
最初に、回答まで時間がかかったことのお詫びを言われてしまいました。いやいやそんな、いろんな業務がある中で私個人の質問に対応ありがとうございますほんと…そして次の台詞が
「このたびの質問にご回答するために、私自身踵を編んでみたんです」
返答が遅かった理由、まさかの(やっぱりと言うべき?)後者でした。さすが暮しの手帖社さんだわ…。
結論から言うと、最後の一目をどこにくぐらせたらいいのか→「最後は①と③の針にそれぞれ2目残った分を編んで、裏返しても1目くぐらせない」というのが暮しの手帖社としての公式の見解だということでした。また、踵ができて休めていた目を1周つなぐ際には、どうしても小さい穴が空くように見えてしまうともおっしゃっていました。
最後の1目を二の針の端っこにくぐらせて編んだりもしてみましたが、それだと踵の段数が2段増えることになってしまうのかな。7足目はぜひこのやり方でチャレンジしたいと思います。
編み図に縛られなくていい
そして、もう一つ大切なことを教えていただきました。それは、暮しの手帖で紹介された猪谷さんの靴下のパターン自体が、猪谷さんが残された編み図を解読して「おそらく、こうなんじゃないか」と推測も入ったものであるということです。だから、「これは絶対的なものではないのでアレンジもどんどん取り入れていってもらえたら」とおっしゃっていました。
実際、爪先の減らし目は全部左上2目1度にしたほうがキレイに見える気がしますし(私比)。
それにしてもこんな素晴らしい靴下を考案してくださった猪谷さん、そしてそれを紹介してくださった暮しの手帖社さんに感謝です! 春になる前にあと2足は完成させたいから頑張ります!
編み図が欲しい方へ
現在「こころとからだのあたため読本」は在庫切れで、Amazonの出品価格が4000円超えだったりします。定価は1150円だというのに…。
※最近は少し落ち着いてきて、1500円前後でも入手できるみたいですね。
そんな人のための強い味方がこちらです。
遠隔複写サービス|国立国会図書館―National Diet Library
実際に編み方説明の部分だけをコピーしてもらいましたが、3分の2をカラーでお願いして送料手数料込みで800円でお釣りが来ました。もし全部モノクロで依頼していたらもっと安くなっていたでしょうね。もしチャレンジしてみたい方がいらしたら、マウス反転GO→記事名「猪谷さんの靴下」、該当ページは110~115です。
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