発病発覚~入院前日まで

今年度(2016年度)はかつてないほど生徒さんに恵まれ、非常に忙しい日々が続いていました。仕事の予定が入っていないオフの日が数カ月に1度あるかないか。体力的にもしんどかったし、家の中もかなり荒れていたように思います。ひたすら希望を持っていたのは、高3生を5人・中3生を1人担当していたので「来年度になったら今より楽になる」この一点だけでした。

年が明けて2017年の元旦、目が覚めたら首がこわばって回らなくなりました。前日張り切っておせち料理を作ったせいかな?と思ったりもしたのですが、そこから続いて頭痛に悩まされるようになりました。もともと肩こり持ちで、肩こりが頭痛や歯茎の痛みにつながることはままあったので、今回もそうかと思いストレッチや体操などをしてみても改善されません。2年前(2014年の年末)に患った動眼神経麻痺の再発だと困るので、思い切って神経内科を受診したのが1月13日(金)のことでした。

MRIと血液検査の結果、脳から首にかけては問題なしと分かりましたが、どうやら血液検査の結果が思わしくなかったようです。神経内科の先生は「白血球が多すぎるのと、好中球のバランスもおかしいので血液の病気の可能性があります」とおっしゃいました。すぐ院内の内科に回されてそこでも同じことを言われ、早めに血液内科を受診するように手続きをすることに。早いほうがいいのなら…と1月16日(月)にお願いすることにしました。

その時点では、「白血球が多いのはきっと前の週にノロウイルスにかかったせいだよなあ」などと考えていました。臨床検査技師の資格持ちの息子に聞いても「まあ気楽に受診したらいいんじゃ?」と言われたし。血液の病気で検索すると白血病という単語がすぐに引っかかりましたが、思い当たる自覚症状もないし、まさか自分にそんな大病が降りかかるわけがないと勝手に思い込んでいました。

週明け、夫に付き添ってもらって血液内科を受診。紹介状に添付された採血結果を見ただけで先生は「十中八九、急性白血病で間違いないと思います。すぐ入院してください」とおっしゃいました。

( ゚д゚)ポカーン

私「…治りますか?」

先生「治ります。あ、たいていの方は治ります」

そうか治るのか、じゃあ大丈夫だなという気持ちと、まさかそんな、自分がそんな大病になるなんて? まだまだ家族を置いてはいけないよ? という気持ちがぐるぐる回ります。

病室の用意ができるのが2日後ということだったので、説明を聞いて手続きをして帰途につきました。途中で健康保険の限度額認定の手続きも済ませておきました。

実家にも電話しました。父が出たのですが、病名を告げると私以上に驚いて「それは血液の癌って言われるやつやな?」と。続いて出た母も言葉が出ない様子でした。ただ、先生からは治ると言われたということだけはしっかり伝えて電話を切りました。

いろいろと思うところはありましたが、とにかく現実を受け止めて入院の準備をしないといけません。翌日も仕事の予定があり、どうしても会って挨拶をしておきたい生徒さんたちがいたので、休まず出勤することにしました。

職場は駅前なので駐車場がありません。マイカーで義実家まで行き、そこから公共の交通機関を利用したり歩いたりしていましたが、さすがに歩く元気はなく。路面電車に乗りながら、「今、私は白血病で明日から入院するんです、なんて周囲の人には全然分からないよね…」とぼんやり思い、何だか世界と薄い壁で隔てられているような気がしました。

教室で室長さんと話をしてから授業に入ります。その日は90分授業が2コマ。最初の生徒さんは前年から担当している頑張り屋さんです。病名を言って、今日が最後の授業になることを告げました。2人目の生徒さんにも同様に。

その2人目の生徒さんは、佐藤優さんが『紳士協定』で書かれていたような、本当に馬の合う生徒さんでした。もちろん生徒さんはみんなそれぞれ可愛いんですが、何と言うか…担当できてとても幸せでした。連絡先を交換してお別れしました。

その日に授業がなかった生徒さんも都合がつく子たちが挨拶に来てくれて、「まだ受験の真っ最中なのに途中で放り出すことになってごめんね」とおわびをしました。でも彼女たちは「今までこれだけ教えてもらってきましたから!どうか早く良くなってください」と逆に励まされてしまいました。みんな、ほんとにいい子たちだ…。

帰宅するとやはり疲れが出たのか、前日までは熱はなかったのに微熱が出てきました。夕食も、当分入院するならと得意料理のポテトサラダを作るつもりでしたが、一人で用意するのは難しかったので家族の手を借りて何とか完成させました。

朝に小学校に登校する末っ子を見送った後、「退院する頃にはもっと背が伸びているんだろうな」と思ったら自然と涙がこぼれてきました。おいおい泣いたりはしなかったけど、ぽろぽろっと。

しばらくはこの日常生活とはお別れです。

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