DAY258
こんにちは、ひららんです。今日は自分が入院中に感じたことと、現在血液疾患と闘っている仲間や、血液疾患ではないけれど大部屋で治療を受けている仲間の声を聞いて思ったことを形にしたいと思います。患者の立場として正直に書いたので上から目線になっているかもしれません。その点はおわびしますが、本当に切実な問題なので。
私自身は急性リンパ性白血病に罹患したので、血液疾患の患者さんの視点寄りになってしまいますが、同様に抗がん剤治療が必要な病気な方や、手術後や発熱等で状態が不安定な方も当てはまるのではないかと思います。
血液疾患の治療で避けては通れないこと
血液疾患には、私が罹患したフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病のほか、様々な種類があります。白血病だけでもリンパ性や骨髄性に分かれますし、リンパ性でも染色体異常の有無があったりします。悪性リンパ腫や再生不良貧血等、それぞれの型を数えていくときりがないと思えるほどです。
そんな血液疾患の治療には、ほとんどの場合抗がん剤の中でも一番きつい部類の薬が使われます。悪い細胞をやっつけるためですが、そうするとほとんどの患者さんの体内では良い細胞もダメージを受けます。具体的にいうと、白血球が激減するんです。
白血球が激減すると、どうなるか。
国立がん研究センターのWebサイトに詳しく書かれていますが、
骨髄抑制:白血球減少(感染しやすくなる):[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]一目瞭然ですね。そう、感染しやすくなるんです。そして感染しやすくなると同時に治りにくい状態になるので苦しみがより大きくつらいものになります。
一部引用すると、
1.白血球減少とは
血液は白血球・赤血球・血小板で構成されていますが、そのうち白血球は細菌、真菌(かび)、ウイルスなどの病原菌と戦い、体を守る働きをしています。白血球のうちもっとも多いのは好中球で、全白血球の60〜70%を占めます。抗がん剤の影響で好中球が減少すると、病原体と戦う身体の抵抗力が低下して細菌やウイルスが繁殖しやすくなり、感染症が発症します。この白血球減少は、ほとんどの抗がん剤で出現する副作用です。
ということです。つまり、健康なときにはなんともないことが、骨髄抑制中の患者さんにとっては命取りになる可能性があるということです。
家族や友人、知人が入院したとき、心配しない人はいないと思います。できることなら時間を作って駆けつけて、直に応援したい。その気持ちはとても素晴らしいものだと思います。患者自身にとっても、親しい人に会えることは入院中の大きな楽しみであることは間違いありません。
でも、駆けつける前に一瞬でいいので考えてください。
あなたの大切な人が入院したのは大部屋ですか? それとも個室でしょうか?
大部屋に入院している人を見舞いたい!と思ったら
- たとえ自覚症状がなくてもマスクは必ずしてください。相手の病室が個室であれ大部屋であれ、「感染症を持ち込まない」ことは最低限のルールです。これを守れない人は悪意がなくても治療の妨害をするどころか患者を物理的に傷つける可能性があります。あなたは入院している友人・知人に会いたいかもしれない。相手もあなたに会いたいかもしれない。そのためには、この最低限のルールは絶対に守ってください。たとえ約束をしてからでも、感染症にかかったらキャンセルしてください。これはドタキャンではなく、相手のことを思いやった「いいキャンセル」です。
- 特に仲が良いわけではなかったり、仕事の付き合いで仕方なくだったり、2親等より遠い親戚関係だったり等々で「お見舞いに行かなかったら後でうるさく言われそうだな」という動機なら、要するにお義理で行かないとな~という人、行かないでください。というか来るな。そんな気持ちで来てくれる人に会って、病人が元気になるはずがありません。義理の親子関係の場合、たとえ日頃の関係が良好だとしても、基本的に精神的に負担がかかるものだと思ってください。
- 相手の都合を聞いてから行ってください。特にあなたが患者さんの血縁(関係が良好であること)や親友、恋人でない場合、「突然行ってサプライズ~♡」なんてことには絶対なりません。迷惑以外の何物でもありません。入院患者はたとえ面会時間内でも検査や処置に追われています。長時間の治療でぐったりしていることも少なくありません。体にいっぱい機械を取り付けて大部屋にいる人だっています。体調が悪くて人と会って話すのもつらいときもあります。そんなとき、特に仲良くない人に突然来られて嬉しいですか?「これから検査なのに人が来たから順番変えて」なんてことになると医療スタッフも困ります。誰も得しません。
- 時間は短めに。患者さんが元気そうに見えても、「起き上がってお客さんと長時間話す」ことは相手が誰であれ疲れます。たとえ話を聞くだけでも。「頼むからもっと居て」という空気でない限り、早めに休ませてあげてください。
- 子供を連れてこないでください。そのお子さんはきちんとマスクをつけていられますか?走り回らずにおとなしく待っていられますか?通っている学校や保育園で流行っている病気はありませんか?受診以外で子供を病院に連れて行くことは、子供にとっても患者にとってもいいことはありません。「孫の顔を見せて元気になってもらいたい」は個室、談話室限定でお願いします。というか退院してから存分に。
大部屋の面会で忘れられがちなこと
さて、大部屋に面会に行く際には他にも気をつけなければならないことがあります。
当然ですが、大部屋には大抵の場合複数人の患者さんが入院しています。無菌室等の設備が十分あって、血球が下がったとき、著しく体調が不安定てときにそこに移って守ってもらえるなら何の問題もありません。
でも病院によっては無菌室・無菌病棟がない、あるいは埋まっているために骨髄抑制中でも大部屋でずっと過ごさなければならない患者さんがいます。
大部屋は必ずしも血液疾患の患者さんで固められるわけではありません。各診療科の患者さんの混合編成になることのほうが多いでしょう。ですから、特定の大部屋だけを「特に抵抗力の落ちている患者さん専用」にして面会禁止にすることも難しいと思います。
その部屋に血液内科の患者さんがいるよという掲示があって、それを面会者がいちいち確認して判断することができればいいのですが、最近は個人情報保護も徹底しているので、患者が希望すれば治療科や主治医名、個人名を伏せることもできます。そうなると同じ部屋でどんな状態の患者さんが入院しているのか完全に把握することはほぼ不可能です。
あなたが面会に行く相手に感染症に立ち向かえるだけの体力があったとしても、同じ部屋に血球が減っていたり抵抗力の落ちている患者さんが一人でもいたら、あなたの何気ない咳やくしゃみが知らない相手の命を危険にさらしてしまうことにつながるのです。どうか面会に行くときはそこまで考えてほしいんです。
治療中の人間は弱っています。同室の人の見舞客の言動は想像以上のストレスとなります。そしてどんなにストレスを感じても、それを明らかにすると室内の空気は確実に悪くなってより居心地が悪くなるので、言いたくても言えずにがまんしている人がたくさんいます。
だから、こんな人は行ってはいけない!
- マスクをしない人
- 咳やくしゃみ等、感染症の諸症状のある人
- 同居家族がインフルエンザ等の感染症にかかっている人
- 子供たち(彼ら自身を感染から守る意味でも)
- 大声で話すおしゃべりな人
- 大勢で来て大声で話す人
- 同室の人のベッドに(カーテン越し等で)ぶち当たっても平然としている人
- 病室で携帯電話で話す人
- 病室備え付けの病人用のトイレを我が物顔で使う人
要は、同室の入院患者に配慮ができない人は頼むから来てくれるなということです。ていうか入院の注意事項には大部屋に入院している患者さんへの面会は談話室(デイルーム)でお願いしますって書いてあったんだけどな。
きっと、この記事を読んでくれるような人はそういう配慮ができるんだろうな…。個人的な主観だけど読んでほしい人はネット見ない層に多い気がする。
では、個室の場合についても触れておきます。
個室に面会に行くときは
お見舞いに行く相手の病室が個室の場合は、
- 患者さんの血球が下がっていない
- あなたがウイルス保菌者ではない
ことがはっきりしているなら問題ないと思います。ただし、事前のアポは必要です。サプライズが許されるのは前述の人だけですし、そういう人ほどきちんと事前にアポを取ってくれました(私の場合)。
無菌室に面会に行くときは
たとえ個室だとしても、無菌室が必要な状態の際は注意が必要です。病院から注意があるので基本的にはそれを守ってください。一度に入れるのは2名までとか、入退室の際は手指の消毒をしっかりとか、病院によって違いもありますが、やはり大切なのは
- ナマモノ(生花や土のついたもの)を持ち込まない
- 自分に何らかの感染症状が出ているときは行かない
- 自分が健康そのものでも同居家族がインフルエンザ等の感染症にかかっているときは行かない
つまり、部屋によけいな菌を持ち込まないということだと思います。
実際に私が体験したことですが、血球がまだそこまで下がっていない時期に義母がまめに面会に来てくれていました。
ある日、面会に来てくれた義母が「義父が昨日からちょっと熱っぽいのよね」とのたまいました。
折しも真冬でインフルエンザ流行中。義父はその前の何日か、電車で遠距離の移動(片道200km程度)をしていました。
「え!お義父さん、インフルエンザじゃないですか?大丈夫ですか?」と思わず口から出たのですが、義母からの返事は
「それは検査してないから分からない。でも私は大丈夫よ」
というものでした。
目玉ポーンですよ( ゚д゚)
いやあの目視できるウイルスなんてないですし潜伏期間とかなんとか
私の頭の中だけ大混乱に陥って、その日は義母にはいつも以上に早めに帰ってもらい、義父には早急に医療機関を受診して検査をしてもらうよう頼みました。
義母はその翌日あたりから熱が出て、検査の結果二人ともインフルエンザにかかっていたことが判明しました。
要はこれから自分の血球が下がるぞという時期に、インフルエンザウイルスを保菌した人が無菌室に来たという事態になったわけです。もちろん義母に悪意は全くありません。
すぐにドクターや看護師さんに相談したところ、義父母のインフルエンザが確定した時点で予防薬としてタミフルを1週間服用することになりました。保険適用外でした。
幸い私自身はインフルエンザにかからなかったので今では笑い話になりましたが、こんなこともあるので、本当に、血液疾患の患者さんをお見舞いに行くときは対策をよろしくお願いします。
大部屋では入院患者として同室の方に配慮したいこともいろいろ感じましたが、それはまた別の機会に記事にしたいと思います。
病院は、体調の悪い人が元気になるために闘っている場所です。どうかそこを忘れないでください。
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